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2014-02-01

ある眼科医からの告知

世の中には、知らずに済めばそれで幸せだったということがある。

「生命に危険を及ぼすこと」でもない限り、尚更そう思うであろう。

あれは忘れもしない今から八年前の早春、ある眼科を訪れた時の出来事である。



従来より私は「顔にできた吹き出物」や「手荒れによるささくれ」の類を気にしない。

こんなものは普通に日常生活を送っていれば誰しも経験することであり、

カメラを向けられる職業にでも就いていない限り、軟膏でも塗って様子をみれば良いのだ。

「口内炎」ができた時も、一週間の食生活を振り返り「ビタミンの摂取不足」と判断すれば、

翌日以降の食材に気を使うか、ビタミン剤などで補助的に摂取すれば大概は治るものだ。

だが「あの日」は、滅多に出ることのない「ものもらい」が右目の内側に隆起していた。



通常であれば薬剤師などに尋ね、市販の目薬で様子をみたかも知れない。

しかし、その「できもの」は三十数年の人生の中で最も大きく、

医者嫌いの私も流石に早期の受診をするべきという判断に至ったのである。

平日の夕刻、数名の患者が診察を待つ地元の眼科を訪れ数十分後には診察室へ入った。



『・・うん、少し大きいけど特に問題ない』

いかにも医者らしい淡々とした口ぶりの先生が、マスク越しにそう答える。

点眼薬を処方してもらいすっかり安堵していた私に、彼から衝撃の一言が発せられた。

『それより・・あなた、花粉症を発症してるよ』



『・・いやいや、自覚症状は全くないですけど』

そう答えた私に、彼はいかにも医者らしくあっさりと言い返す。

『うん、あるとかないとかじゃなくて、とにかく発症してるから』

『やかましいっ、コラぁッ!!!』

と、爆発しそうな感情を私は心の中だけに留めた。



結局その日は「花粉症用の点眼薬」も同時に処方してもらい帰宅の途に着く。

あの時の点眼薬は一度だけ試用したことはあるものの、症状の軽い私にはやはり不要だった。

結果論に当てはめれば、確かに「ほんの少し鼻がむず痒い」や「ほんの少し目が痒い」など、

花粉症でなくとも経験する程度の感覚があったことは間違いないだろう。

それでも「あの日」以来、この季節にそれに似た症状を感じる度に思うのは、

『あぁ、もしかしたらこれが花粉症の症状なのか?』と、

これまで考える必要もなかった余計な情報を脳にすり込まれてしまったのだ。



体の異常を診つけるのは医者の仕事であり、もちろん眼科医の彼は当然の行いをしたまで。

それでも私は、この「ごく軽微な症状」の真相は知りたくなかったと今でも思う。

今年もまた、あの時の眼科医に対し「ほんの少しだけ殺意を抱く季節」が到来した。



 END

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コメント

眼科医?

良かったア、、、眼科ね?

親切で教えたのに殺意もたれちゃったのは!

通りすがりの易者に「死相が出とる!」って言われたつもりで諦めなさい、花粉症君。

Re: 眼科医?

先生、聞いた時はショックでした。

まあ殺意は冗談ですけど、
医者なら当然患者には伝えますよねww

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