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2013-11-30

Y's 小説 『ケンカ代行承ります』 第二話

Y's 小説 『ケンカ代行承ります』 稲垣勇輝:著 

 第二話



『現役力士、路上で失神KO!!』角界には衝撃が走った。

これまでも、数々の過激なスクープ写真を独占掲載してきた『真正スポーツ』。

朝刊にトップ記事として掲載された今回の傷害事件に関し、警察やマスコミが動き出す中、

唯一『事件直後の凄惨な現場』を激写したのは、真正スポーツの記者・鈴本晴彦ただ一人である。

警察の事情聴取に対して鈴本が答えたのは、『全ては予想外の出来事だった』ということ。

連絡を受けたクライアントからのリクエストもあり、既にカメラの用意はしてあった。

それがまさか目の前で『前頭三枚目・太田山』にあんなことが起こるなんて・・。

『私も報道マン、通行人に110番を依頼した後は夢中で真実を撮り続けた』というもの。



太田山の付き人の証言もあり、鈴本が部外者であることは明らかだった。

捜査の参考になればと証拠写真のコピーを提供し、身元確認の後鈴本は解放された。

『・・・独占スクープだっ!!』鈴本は編集作業へ向かう道すがら、高揚感に包まれながらも、

一週間ほど前、携帯電話に非通知で届いた一本の電話のことを思い出していた。



鈴本にとっては、何も今回の『太田山事件』だけが特大スクープではない。

過去には『関東で最大級の暴走族一斉取締り』や『大物芸人の不倫現場』など、

たくさんのスクープを独占的に報じてきた、真正スポーツの敏腕カメラマンである。

しかし、なぜ鈴本だけが『特大ネタ』に繋がるような現場へ一番最初に到着できるのか?

それは鈴本が『報道カメラマン』として自らの足で稼いだ『営業力』だった。

プライベートとは別に、仕事専用の携帯電話を常に持ち歩き、名刺にも番号を記載。

繁華街でよく見かけるようなタイプには積極的に自分を売り込むようにしている。

『スクープになりそうな現場を目撃した際には、この番号へ連絡して欲しい』と。

そしてスクープの大きさにより、情報提供者には謝礼も出していたため、

鈴本と彼にコンタクトを取る人間との間には、揺るぎないネットワークが築かれていた。



つまり、鈴本に届いたあの日の『タレこみ』も決して珍しいことではなかった。

内容は『特大スクープになる情報があるが、内容はまだ明かせない』というもの。

そして条件がつく。『ターゲットのスケジュールを把握してから改めて連絡する。

当日待ち合わせの現場には、カメラをきちんとセットアップしてから来て欲しい』と。

得体の知れないコンタクトに少しばかり警戒心を抱きながらも、

報道カメラマン歴25年の勘が『単なる冷やかしではない』と理解していた。



そして事件当日、再び鈴本の元へ『非通知の着信』が届く。

例の男からだ。

そこで初めて明かされたターゲットの名前に鈴本は驚いた。

『太田山って・・、あの前頭三枚目の?』

付き人を二人引き連れ、高級焼肉店『大丸』へたった今入っていったのだという。

その店を出た所で『今回のタレこみ』の真相が明らかになるから張り込んでいて欲しい。

電話口の男はそう言うと、電話を切った。



『・・・なるほど』

鈴本には思い当たる節があった。

力強い相撲と気の強さから『第二の朝青龍』と呼ばれ始めていた太田山。

『横綱に最も近い日本人力士』と期待されている一方で『グレーな噂話し』もある。

酒癖が悪く、これまでに何度も女性関係のトラブルが噂されていたが、

角界の包囲網は崩し難く、真相が明らかにされることはなかった。

おそらく、このことを知っている人間からのタレこみだったんだろう?

付き人にナンパさせた女でも連れ込む気か?

よし・・、絶対にスッパ抜いてやる!!

カメラを入れたバッグを背負い込み、鈴本は現場へと足を運んだ。



『焼肉大丸』の向かいに位置するマクドナルドのテーブルに座り、

鈴本は二杯目のコーヒーに口を付けた。

現場に到着して一時間、太田山が店に入ってからは二時間が経過していた。

『まあ、そろそろだろうな』

鈴本の読み通り、付き人二人と店から出てきた太田山。

この夜もタップリ酒を飲んだのであろう、ご機嫌な様子だ。

鈴本はカメラを手に、表へと歩きだした。



談笑しながら歩き始めた太田山と付き人二人。

今のところ、何も変わった様子はない。

『おいおい、焼肉食って帰りましたじゃあ何のスクープにもならんぞ?』

女性関連だと睨んでいた鈴本が、落胆しかけていた瞬間『それ』は起きた!!



『お、おい・・・。ウソだろォ!!??』

時間にして2~3秒の出来事であろうか?

前のめりで路上に倒れこんだまま動かない太田山。

アスファルトに伏したままピクピクと痙攣を起こしていたのだ。

今、一体何が起きたんだ!?

鈴本は無意識にカメラを構えつつ、太田山の近くまで慌てて駆け寄った。

その時、闇に溶け込むように路地裏へと走り去って行く男の影があった。



* この物語はフィクションである



 第三話(最終話)へ続く




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コメント

やったー!!

3話ぽっちかい?

もうちょっとやろうよ。

一昨日の稽古でもどうやって相撲取りを倒すか、、、話題になりました。

師匠が「ヌンチャクで叩いても効きませんからね、、」って言ってましたが。
おいおい、、、叩いた事あるんかい?


完結編楽しみにしてます。

ン、、鈴本晴彦?

Re: やったー!!

先生、今回は三話にしておきましょうw

力士に正面からぶつかっていくのは無謀です。
やはり奇襲しかありませんよ(≧∇≦)

最終話、お楽しみに。

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