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2013-08-10

レインボーブリッジを通過せよ ~後編~

【チャンピオンベルト】それは全てのプロボクサーにとっての憧れであり、

プロのリングに上がる以上『誰もが目指すべき頂である』と言えよう。



その神聖なベルトを、ジムに置き忘れるという愚行を犯してしまったU田会長。

試合会場である後楽園ホールに到着した後、『それ』は発覚した。

そして、ベルトを取りにジムへ戻るという尻拭いを仰せつかった男達がいた。



* 稲垣勇輝 34歳(当時) A型 おひつじ座 職業:クレーン運転士 / トレーナー

* ポッチン 46歳(当時) A型 おひつじ座 職業:歯科医 / カメラマン

共に干支は『子年」、恐ろしいほど類似している二人の珍道中はこうして幕を開けた。



『先生、標識や他の情報は一切無視です。

とにかくKさんの言う通り、ひたすらレインボーブリッジを目指しましょう』

確かに方向性が定まれば、一切迷うことはなくなった。

首都高の箱崎から、ひたすら車線変更を繰り返しレインボーブリッジを目指す。

『よし、見覚えのある景色まで来た。ここを右車線に入れば終わりだ!!』

後は単純な道のり、ジムに着いたら一服しましょうね、先生。

そう思っていた矢先、助手席に乗っていたポッチン氏が悲痛な声で呟いた。

『稲さん・・・あれ・・・』



高速道路の分岐点を通り過ぎる際、ポッチン氏が指差した『向こうの標識』を観る。

『ア・ク・ア・ラ・イ・ン』確かにそう書いてあった。

そう、我々はあと一回だけ右車線に移動しなくてはいけなかったのだ。

アクアラインに乗り損ねた私は、ジムでも出したことのない大声で吠えた。

『U田ぁああああああああっつ!!!!!』

あんたがベルトさえ忘れなかったら、こんな思いはしなくて済んだんだ。



とはいえ、進行方向は間違っていない。

私が入ったのは、アクアラインができる前に仕事で使っていた『東関道』である。

時間は少し遅くなるが、このままジムへ向かうことにしよう。



それ以降一切のトラブルはなく、無事にジムからベルトを持ち出した我々は、

ほど良く渋滞する首都高に再び戻り、ゆっくりと車線変更しながら後楽園を目指した。

『俺はセコンドだぞ!? 客として観にきた訳じゃねえんだよ!!』

そう思いながらずっとイライラしていた私を和ませるため、ポッチン氏が提案してきたのは

『昔付き合った女の話をしよう』というものだった。・・・何故だ?

しかし、そこにいたのは野郎が二匹のみ。

話を始めると以外な盛り上がりをみせ、私もいつの間にか冷静さを取り戻していた。

今でも交流のある、私の数少ない友人の一人であるポッチン氏。

私は、彼のおかげで気持ちを切り替えることができたのだ。

本当に今でも感謝している。

特に、彼がある女性の『ヒモ』だった頃の話、

そして、あの有名な漫画家へ弟子入りを志願した時の話は興味深かった。

それ以外は・・・下ネタばかりだったような?

彼の歯科医としての威厳に関わる。この辺で止めておこう。



こうして我々が必死に持ち帰ったベルトは、文頭で触れたように挑戦者の手に渡った。

その試合でのエピソードは、また別な日に譲るとしよう。

そして、これこそが『あの試合の裏』で繰り広げられていた、

人知れず忘れ去られていく運命にある『小さな事件』の真相である。



試合の後、U田会長は悪びれる様子もなく私に言った。

『しょうがない。なあ稲垣、しょうがねーよ』

無くしたベルトのことは、もうグチグチ言うまい。

そう思いかけていた私に、会長からこんなセリフが飛び出した。

『やっぱりよ~、ベルトも持っていかれたくなかったんだよ~。

だからジムに置いていかせたんだよなぁ?へっへっへっへ』



『U田ぁああああああああっつ!!!!!』



あれから、もう7年の月日が流れた。

私はトレーナーを引退し、サラリーマンも引退した。

そして、ジムでは『新たなる希望』が育ち始めている。

罪を憎んで人を憎まず。

『我が青春のボクシング』

ジムと後輩達の更なる飛躍を願いつつ、この記述を締めたいと思う。


 
 ~END~







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コメント

記憶喪失、、、

この植D会長の「棚にあげる」性格が災いし、
ボクシング界を去った私。
植D会長以外の人とのつきあいは継続中です。

「ヒモ」?

なんの事でしょう?
やっぱり現役の頃に殴られすぎたんでしょうね。

今I君もそうですが、、、たまにチンプンカンプンな事も言いますが、大きな気持ちで暖かく見守っていこうと思います。


稲さん、盆休み中に飲みに行こうね。

Re: 記憶喪失、、、

先生、そんなことないですよ {(-_-)}

ちょっとブログには書けない様な話しをしたじゃないですか。

とにかく、あの日はお世話になりました。

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