fc2ブログ
2012-06-18

「プロ・ボクシング」 若き指導者 ~完結編~

 「全3回」に渡る長文にお付き合い頂きありがとうございました。本日、最終話を書きます。 

「私がトレーナーを辞めた理由」をブログに書いたことはありませんが、
新しいトレーナーも誕生しましたので「エール」の意味も込めて最後に書かせて頂きます。

私のトレーナーとしてのモットーは、

「選手が身体を壊す前に引退させる」ことです。

勿論チャンピオンになってくれれば嬉しいですが、
本来それは選手が欲する「夢」や「目標」であり、どこまで行きたいのかは、
自らの意思で入門してきた「選手」が決めればいいんです。
そのために必要なプロセスを後ろでサポートする事が、
私のトレーナーとしての「役割」であると考えているからです


私が入門から半年でプロになったことは前に書きましたが、
「プロデビュー」したのもジム最短記録~「入門から10ヶ月目」でした。
そこまでは、負けず嫌いと勢いだけで辿り着けましたが、
そこからは「キャリアと経験のなさ」を嫌と言うほど思い知らされました。
 
 デビュー戦「3RKO負け」 
「左右眼下底骨折」「鼻骨が潰れ、左の鼻腔がふさがる」


という厳しい「プロの洗礼」を受けました!
潰れた鼻の骨は脳に近いという理由で「麻酔なし」で、
医療用の棒丈の器具で起こしました。 
 
 突然「看護婦さん」二人に、両脇を押さえつけられ、「どうしたんだよ!?」と思う間もなく、
先生の「すごく痛いよ!我慢してね!」
の言葉の後・・「メキっ!メキメキメキっつ!!」
潰れた軟骨を戻す音、勝手に鼻水と涙が溢れ出て
  「気絶しそうでした!」
「女の人が子供を生むのは、もっと苦しいのかな?」
などと、薄れゆく意識の中で思ったりしました。

「眼底」は、折れた時に飛び出した「目の周りを被っている、ゼリー状の成分を中に戻す」手術をしましたが、
「上目使いで物を見る」と左右の焦点がずれて二重に見えました。
手術自体は成功したのですが、左右の視点バランスは
今でも元には戻らず「引退するまで隠し通しました。」
 

2戦目に「1RKO勝ち」でプロ初勝利 ~ その時、会長に言われました。
「お前な・・今だから言うけど、デビュー戦であれだけの怪我したら普通辞めるぞ!
なのに・・次の試合いつですかっ?って聞かれた時は、こいつ・・まだやるのかよ!? 
ってびっくりしたよ!」・・と
 
負ければ、みんなこんな感じなんだろうな、と本気で思い込んでいた私・・バカです!
「何も知らない」って本当に恐ろしいことですよね(笑)

 ・・でも、そのおかげで私は・・

 私の夢を打ち砕いた後「日本」「東洋」とチャンピオンベルトを巻き、
「世界タイトルマッチ」にも挑戦した男と、
「東日本新人王」の決勝を争う事が出来たのですから、
ボクシングに感謝です!!

 そんな大怪我をした過去があるからこそ、私が選手に対して、
「基本」と「ディフェンス」にうるさくなったのは言うまでもありません。


それにも関わらず・・私が36才の時、試合で「事故」が起きました

 私の教え子で、デビュー前からコンビを組み
私の果たせなっかた「全日本新人王」を獲得してくれた選手です。


一度ランキング入りを果たした後、何試合か経験し・・ついに日本ランキング上位の選手との試合。
私が何度もうるさく指導してきたので「パンチを打たせないタイプの選手」に育ってくれていましたから、
どこかに慢心があったのかもしれません・・。
相手に打ち込まれてダウンした後に意識を失い、そのまま病院に「緊急搬送」されました。

  「急性硬膜化血腫」  という

脳内出血の一種で「意識不明」になり、生死の堺をさまよいました。 
私も、教え子の家族の方々も「最悪の事態」は覚悟しましたが、
「大手術を行い」幸いにも意識が戻り、リハビリの末
一般人と何ら変わらない生活が出来るまでに回復してくれました。
本人の精神力が強かったからこそです!
 

「退院祝い」をしてから会っていなかったのですが、
今は時々ジムで練習しているらしく(もちろん選手は引退しています)、今年「二年ぶりに再会」しました
左手の握力が落ち、事故の前より少し「左手の反射速度に違和感がある」そうですが、
それ以外は昔と殆ど変わらないと言っていました。本当に嬉しかったです。

私は事故の後、何ヶ月も自分を責め続けました。
「何が選手を壊さねーだ!?口先ばっかりだよお前は! 
お前には選手を育てる資格なんかねえよ!
もう二度と人に何か教えたりするんじゃねえぞ!このバカ!!」・・と。

「責任の取り方」って、これが正しいとか決められませんよね・・
こうすれば許される、なんて形は絶対にないんですから・・
。 
ただ、彼の家族は私を信頼してくれていたので(結果、教え子が回復してくれた事もあると思いますが)、
一度も私を責めたりはしませんでしたし、会長もジムのオーナーも「お前が責任を感じることじゃない!」と
ずっと励まし続けてくれていましたが、
私は、ただ「チ-フ・トレーナーの職」を降りる事しか出来ませんでした・・

 そして、現在に戻り・・・ 

ジムで、Aトレーナーがミットを受けています。
「パスッ」・・「ポスッ」・・見なくても音を聴けば判ります。


「止めるタイミング、全然合ってねーよ!」と、
心の中では思いますが、
絶対に口には出しません。
経験を積めば身に付いていくことですし、
まだ選手も会員さんも練習していますから。
彼らにとっては「スタッフ全員」がプロなんです! 
新人もベテランも関係ありません。 
万が一、見兼ねるような場合には
「裏でこっそり」耳打ちすればいいだけですから。


 この前のスタッフ会議での話し・・・

私: 「マンツーマンはいいけど、お前の話し・・もにょもにょ全然聞き取れねーよ。 
怒鳴る必要はないけど、もっと声に張り持たせろよ。
他にも、それを盗み聞きしたい選手がいるんだからよ!

A:  「あ・・すみません」

スタッフしかいないので、もちろん遠慮なんかしません。

私: 「俺が居るから遠慮してんなら、それは違うぞ。今、うちのトレーナーはお前なんだよ!
 もう俺らの時代は終わったんだから、お前らが新しい時代を作っていけよ!」
A: 「・・はい!!」
 

 そして、再び現在に戻る・・・

私:「今週は・・まあ、聞き取れるかな?
・・別に俺の出る幕じゃねーけどよ。」 
 
週一回のお手伝いさんは、そそくさとグローブの整頓を始めました。
     
 

 長い時間お付き合い頂き、ありがとうございました。 

 これで終わります。

スポンサーサイト



   

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yuuki20120509.blog.fc2.com/tb.php/38-58fcb5b4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) 「Y's BAR」 へようこそ. All rights reserved. Template by Underground