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2012-06-16

「プロ・ボクシング」 若き指導者 ~その①~

今から七年ほど前、選手を引退してからずっと放浪していた私が、
ボクシングジムにトレ-ナ-として戻り、三年目を迎えようとしていた頃の話しです。

通常フィットネス目的の「会員さん」であれば、飽きさせない為に「ある程度の段階」で、
一通りのパンチを教えて
楽しく練習して頂きますが、

プロ.アマ問わず、「選手志望」の練習生には基本の「ジャブ」が身につくまで
「何ヶ月でも」それだけをやらせます。(勿論うちのジムで、特に私がです)


それでも「アッパーとかも打ちたいっすよ~」とか言ってくる子も時々いますが・・・、

「いいよ・・・そのかわり選手になるのはやめろよ。」
と言います。

私の知る限りでは、皆文句も言わずに練習に戻ります。

「選手を預かる」という事は「人様の子供の命を預かる」
ということですから、
そこには当然「責任」があります。


単調な練習の繰り返しで、飽きてくる気持ちも解らない訳ではありませんが、
もっと先の「未来」を見ているのか、
「選手としてリングに上がる覚悟」を試す意味
でもそう返答していました。
選手は皆、期間の違いは有れど必ずそういう時期を経験しています。
その後の「ボクシングキャリア」からみた時に「ほんの数ヶ月間」しかない、
その「基礎を身につける為の時間」すら我慢できないのであれば、
そもそも選手としては難しい

(勿論、指導方法が間違っていないという前提ですが) と言わざるを得ません。

ある日、一人の練習生(A君とします)が「ジャブ」の練習しているのを見ていました。
「うん、もう形になってるな」
そう思った私は声をかけました。

私:「君、選手になりたいの?」
A君:「はい。」
私:「ジャブ、教わってどれ位たつの?」
A君:「三ヶ月位です。」

私はその後すぐに「ワンツー」の打ち方を教えました。

他のジムからの移籍や高校のボクシング部出身でもない限り、始めから「担当者」はいません。
(選手育成のトレーナー以外にも指導するスタッフが数名います)
ですから指導する側から声をかけられる位「沢山練習をして自分をアピールする」必要があります。
やはり「一生懸命な練習生」や「センスが良い子」には思わず声をかけたくなります。

「ワンツー」がしっかり打てるようになればそこから先は、
「高速道路に乗り換えた」ように、
全てのパンチの打ち方を「今までより短い期間」で習得できてしまいます。
 

それは何故か?

まず「ジャブ」の練習で「正しいフォーム」を維持しながらナックル(拳)の握りや返し方、
スナップの利かせ方など、

   「スピード」 「正確さ」 「距離感」

をしっかり身に付けさせます。

そして「ワンツー」で左右の足のシフトウェイト(体重移動)の仕方、
腰と肩を入れるタイミング(つま先から拳までの回転のさせ方)など、
そして二つ以上のパンチの組み合わせを

   「コンビネーション」

と言い、

それらの組み合わせが「一つのパンチ」である事を理解させます。

つまり、単発のパンチを二発入れる時の「リズム」では、
「タイミング」が遅いと言うことです。

ここまで身に付いていれば
「フック」 「アッパー」 「ボディーブロー」 など、
他のパンチを打つ時に必要な、体の使い方は

「ワンツーをマスターした時点で身についている」

ということです。

もしも、その段階まできた選手が、
フックやアッパー等を「スムーズ」に打てなければ
まだ「ワンツー」をマスターしていない証拠であり、
それを見極められていない「指導者の責任」なんです!


極論になりますが、言い方を変えれば

「ジャブとワンツーさえ正しくマスターすれば、それだけで戦える」 
ということです。


勿論、A君もすぐに「左フック」が打てるようになりました(当たり前ですが)
私が教えたのはそこまでです。
その後も見ようと思っていたのですが、
その年に「引退した選手」が二人いて、その子達を担当していた別のトレーナーが見る事になりました。

A君はアマチュアで何戦かした後に「プロテスト」に合格、
私がワンツーを教えてから何年か経っていました。

翌年に「デビュー戦」が組まれる予定になっていたのですが、
それなりに実績を挙げ「チーフ・トレーナー」となっていた私がその職を退いたのも、
その年でした・・。


 ~その②へ続きます~ 

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