fc2ブログ
2015-04-05

堅気じゃない日々 後編

* 前日に記載致しました「実話」の後編となります。



時刻は既に18時を超え東京都内にある「解体工事現場」は闇夜に包まれておりました。

「17時以降の解体工事」が禁止されていたことを受け見張り役に任命された私は、

養生シートに隠れながら照明も付けずに解体工事を強行している仲間のY口と、

『ばれなきゃいい』をモットーとする社長の2名を建物の中に残し1人屋外に立ちます。



『・・もう限界だろう?』私はセブンスターの吸い殻を飲み終えた缶コーヒーに落とし、

スクラップを積んであるダンプの荷台にそれを放り投げると作業場へ戻りました。

中に入ると私の予想通り既にユンボを降りたY口が社長のオペを見守っています。



声を掛けた私にY口は『稲垣さん、もう全然見えないっすよ!』と苦笑い。

それでも1人強行を続ける社長にY口からも私と同じセリフが飛び出します。

『稲垣さん・・社長のあの壊し方、堅気じゃねェよ!』

ヤクザは辞めても「生まれ持った気質」までは変わるはずもなく、

その後3ヶ月間も「無給」で働き続けた我ら従業員3人組も十分普通ではありませんが。



当時は貯金もせずに遊んでいた為3ヵ月後には家賃も払えなくなり

社長には何度も電話を掛けて催促しましたが『元受が入金してくれねェんだ』と、

とうとう最後まで逃げ続けられ裏切られた気持ちから彼を心底恨んだ時期もありました。

しかし、この経験があったからこそ「働けば給料が貰えるという常識は大間違い」であり、

「お金を稼ぐこと」と「仕事をすること」がイコールではないことに気づかされました。



この時、プロボクサーを引退してから既に5年の歳月が経過しておりました。

荒れた生活を続けてきた私が事実上「堅気に戻る」きっかけとなった訳です。

前編の記事にもあります通り解体工事で出たスクラップの搬入先でもあった、

「鉄・金属等のリサイクルセンター」に縁あって正規雇用して頂けたという経緯です。



既に「自分の頭を使わなければ永久に金は稼げない」と理解はしていた私ですが、

「元手が無ければ何も始められない」という自らが置かれた現実を素直に受け入れ、

「資本金」を捻出する為に毎月コツコツと貯金に励みボーナスには一切手を付けず、

やがて脳機能学の勉強や株式投資の世界へと足を踏み入れて行くことになる訳です。



現在の私に上記した「解体屋の社長」に対する恨みなどは一切なく感謝している程です。

思い起こせば「社長が語った数々の名言集」は後に学ぶ脳機能学的にも根拠があり

『オイがやったらこんなの訳ねェよ、すぐだ!』という「解体屋としての自信」や、

『社長、危ないからもう止めたほうがいいんじゃないですか?』と言ったY口に対し、

『兄ィア!ヤル気ねえから出来ねんだっぺや!?』作業を完遂する精神力など、

伊達に「極道の世界」に居た訳ではない社長から学んだことも数多くありました。



最後になりますが上記した「東京都内での解体工事」の強行作業ですが、

強気なY口が社長を静止する程「真っ暗闇での解体」はその後も困難を極め、

住民に気づかれないままで作業を続けるには既に「限界の時刻」でもありました。

しかし、何時終わるとも判らない社長の暴走を止めたのは彼自身が発した一言です。

『・・・かあーっ!?兄ィア~、配管割っちまったェーっ!!』



社長・・だからY口は止めたんじゃないんですか?

私達3人は「堅気に戻る日」が近いことを当時はまだ知る由も無く、

翌日も元気に「産業廃棄物」の運搬に出るという懐かしくも感慨深い日々でした。



2日間に渡りお付き合い頂きありがとうございました。



 END

スポンサーサイト



   

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yuuki20120509.blog.fc2.com/tb.php/1018-e9af968b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) 「Y's BAR」 へようこそ. All rights reserved. Template by Underground